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講演会参加記録帖
No.
2024/09/29 (Sun) 02:23:03

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No.37
2012/09/08 (Sat) 23:05:20

講演日 2012年9月6日(土) 14:00~16:00
講 師 ピエール・ローザンベール(ルーブル美術館名誉館長、アカデミー・フランセーズ会員、シャルダン展監修)
会 場コンファレンススクエアM+ グランド 先着180名無料 要予約 同時通訳付き

シャルダン展監修者の講演ということで、本当にわくわくしてこの日を待ちました。期待のあまり、寝付けなくて大変でした。それにしても、今回の展覧会はすごく力が入っている気がします。企業後援がかなりあるのかな?と勘ぐっちゃいます。ともあれ、ルーブル美術館の名誉館長さんの話が聞ける機会なんて、滅多にないじゃないですか!それも無料、つまり、ただで!ああ~、本当に、ありがたい。

ピエール・ローザンベール氏は、お茶の水博士みたいな感じの方でした。真赤なネクタイにネクタイとは微妙にニュアンスの違う赤のスカーフを首にかけていらして、もう、おフランスの知性全開~ってオーラばんばんだしてました。
フランス語は全くわからないので、お話の内容は同時通訳を聞くしかないのですが、さすがに、私のようなど素人ばかりではなく、研究者の方も多かったのか、フランス語のジョークにちゃんと反応している方がいました。ああ、言葉ができるっていいなあ・・・と思う瞬間です。

日本での講演ということで、ちゃんと、当時の押さえておくべき社会情勢や当時の芸術界の常識などを盛り込み、
丁寧に解説して下さるところはさすがです。午前中作品を見て、もやもやしていた部分が講演を聞く事によって
かなり形をもった理解をする事ができました。

シャルダンが、王立美術アカデミーで正規の教育を受けていない事が、逆に彼の独自性と革新性を産んだことがわかりました。正規な教育を受ける機会がなかったからこそ、描く対象にどのようにアプローチするか、自分自身で模索するしかなく、更にその真摯な探求が、彼の作品を単なる時代の絵画ではなく、19世紀以降の画家たちに強い影響を与えて行く事になったというのが納得できました。18世紀イギリス生まれの近代外科手術の祖ジョン・ハンターとも通じるなあとしみじみ感じてしまいました。正規の教育もとても大切であるけれど、ある意味硬直化してしまう危険もある。一方で正規の教育を受けられず、それでも、なお自身でその道を究めようとする人間だから、成し遂げられる偉業もあるんだとおもうと、人間の奥深さを感じます。

講演の後質疑応答の時間が設けられ、5人ほど質問を受け付けてもらう事ができました。2人は一般人、3人は美術史関係の方のようでした。丁寧に答えていただいて、うーんさすがに一流の先生は違うなあ・・・と納得。彼にすれば子供に対する質問に過ぎないようなものでも、ちゃんと真面目にわかりやすく答えてくれるのは、嬉しいです。
ローザンベール氏の講演会が火曜日に日仏会館であると言うのですが、平日ではどうにもなりません。残念!







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No.36
2012/08/26 (Sun) 23:25:40

講演日 2012年8月25日(土) 14:00~15:30
講 師 石澤 靖典(いしざわ やすのり) 山形大学人文学部准教授 
会 場 国立西洋美術館講堂先着140名無料

ベルリン美術館展記念公演。公演に先立ち、石澤氏のプロフィールを西洋美術館主任研究員高梨氏が紹介したのだが、東北大学の後輩に当たるということで、石澤氏の研究者としての資質の高さをほめちぎっていた。イタリア・ルネサンス研究者のなかでも、15世紀を研究するのは特に難しいそうだ。なぜならば、15世紀以前の文献は基本的に中世ラテン語で、更に書体も特別な書体が使われているとのこと。文献が読みこなせなければ話にならないわけで、特に、15世紀を研究する人は日本でもそう多くないという。その中でも、石澤氏は一押し研究者だとか。あまり手放しに褒められても石澤氏もやり難いだろうなあと思ったが、そうでもないらしい。けっこう淡々とした導入部から始まった。

歴史研究をする場合、まずその時代背景をその時代にさかのぼって、きちんと把握しておかないといけない。現代とはまるで違う価値観が支配する世界かもしれないし、町並みだって、生活様式だって、現代とは違う。そういうことをまず踏まえて、さまざまな事を検証していく必要があるわけだ。なるほど!

お話は、「現実のフィレンツェと都市イメージ」「聖なる画像と都市の市民生活」「世俗の肖像画と都市」という3つのテーマですすめられたのだが、話が進むにつれ、最初淡々としていた石澤氏の話ぶりにも熱が入り、非常に盛り上がった。

話の中で、非常に面白かったのは、都市が発展するに従い、芸術が市民の共同体意識を向上するための戦略として使われたという点や、聖母子や幼い姿の聖人たちのイメージが、子供の情操教育の手段として有効であるみなされていたということだ。

また、デスマスクをとり、それを肖像彫刻や肖像画のモデルとして利用したなんていう話もあり、それを始めたのが、ダ・ヴィンチの師匠のヴェロッキオだったとか。ベルリン美術館展にはコジモ・デ・メディチレリーフが出品されているのだがその作品は、コジモが亡くなってすぐの制作で、ヴェロッキオがコジモのデスマスクを取って、それをモデルにしたのではないか?とのお話で凄く生々しくて、ぞくぞくしてしまった。

西洋美術館の講演会は毎回とても面白いので楽しみにしているのだが、一流の研究者の話を無料で聞けるって本当にありがたいと思う。それなのに・・・・・・、隣に座った壮年男性は寝ていましたそれも、かなりの熟睡・・・・昼過ぎで眠いのはわかりますけど、せっかくの講演なんですから、ちゃんと聞いてほしいなあ・・・・。席数限定で整理券もらえなかった人もいるかもしれないのですから。



 
No.35
2012/04/28 (Sat) 22:43:18

講演日 2012年4月28日(土) 15:00~16:00
講 師 ギョーム・キンツ(ルーヴル美術館絵画部門学芸員)
会 場 ルーブル DNP ミュージアムラボ ホール 先着100名(要予約)無料 同時通訳付き

ルーヴル ‐ DNP ミュージアムラボ第9回展のオープニングを記念しての講演会。五反田DNP本社ビル内には特別なギャラリーがあって、ルーブルから貸し出された作品をいろいろな機材を使って解説してくれる企画が行われている。
過去にも何度か展示を見に行ったり、記念講演会を聞きに行っているが、なかなか楽しい催しと言える。

今回は、ゴヤの≪青い服の子供≫という作品が展示されているのだが、この作品はなかなか数奇な運命をたどりルーブル美術館に所蔵されることになったのだそうだ。今日は展示観覧の予約が取れなかったので、講演会のみの参加となった。

ゴヤは言わずと知れた18世紀スペイン絵画の巨匠なのだが、その人生は激動の時代のただなかにあった。今回はその歴史の中でゴヤが描いたものはなんだったのかを、丁寧に解説してくれていた。フランス語の講演で、同時通訳なしでは勿論意味は通じないわけだが、よどみなく、熱く語られる言葉は、それだけで、すごく引き付けらた。
こういう講演の場合、専門的な言葉が多いし、全体の流れも十分打ち合わせしないと難しいと思うのだけれど、二人の通訳さんの交代の部分で、全体の流れに関わる部分が飛ばされてしまったのがすごく残念だった。

つい先日上野でゴヤ展を見ていたので、講演の中に出てくるゴヤの版画について、少しわかっていたので、なんとかついてはいけたが、こういう講演を聞くたびに、言葉ができたらいいのになあ・・・としみじみ思う。
4時までの講演の予定が少しのびて質疑応答の時間がなかったのが心残り。実際のところ、質問ありますか?と司会の方が声をかけてはくれたが、濃い内容の講演だったので、質問を言葉にする時間が必要だった。すぐに質問がなければ終わりますって言われてしまって、予定時間が過ぎていたのはわかるけど、あと5秒待ってほしかったなあ。

≪青い服の子供≫の展示は10月28日まで。

No.34
2011/03/08 (Tue) 23:24:58

講演日 2011年3月8日(火) 18:30~20:00
講 師  大野芳材(青山学院女子短期大学教授)
会 場 SPACE NIO 日本経済新聞社 東京本社2F
費 用 1000円 要事前予約 

大野氏の講演は3度目。相変わらずにこやかで軽やかなお話ぶりが楽しかったです。「ロココが好き!」と以前聞いた講演の時もおっしゃっていましたから、きっとお話なさりたい事がたくさんあったのでしょうねえ。1時間半の持ち時間はあっと言う間に終わってしまい、講演としてはちょっと散漫な感じになってしまっていました。でも、楽しかったです。マリー・アントワネットが描いた、父皇帝フランツ1世の絵が紹介されて、なんだかとてもほほえましかったです。

話の入り口のはずだった王立絵画彫刻アカデミーと女性画家の関係のところでかなり時間が押してしまって、後の方がかけ足になってしまいました。ある程度西洋美術史を勉強すると、中世から近世の徒弟制度についての知識があるので、それを踏まえた上での話が進められるのでしょうけれど、そういった知識がない方に画家の社会的位置づけなどを話そうとすると、まずそこから話を始めなければいけないというのが、難しい課題になるのでしょう。

ヴィジェ・ルブランは18世紀末には非常に評価の高い画家であったのに、フランス本国ではまだ本格的な回顧展が開かれた事がないそうです。その理由としては、現在最先端の研究をされている方が、アメリカ人であることや、本人が同じ構図の作品をいくつも制作しており、その扱いをどうするべきなのか、評価が定まっていいないというところにあるのだそうです。

18世紀はフランス革命に代表されるように、大きな社会の変革期にあたったわけで、それは単に社会体制の変化だけでなく、文化芸術から人々の生活感覚に至るまでの本当に大きな変化が起こったのだと思います。
18世紀には本当にエネルギッシュで魅力的な人物がたくさん存在しています。ヴィジェ・ルブランもその一人だと思いますが、いかんせん、現代の感覚ではとらえきれないものを持っている人間のように思うのです。

彼女の魅力はむしろ、現代日本女性の方が素直に評価できるような気がします。女性という社会的には弱い立場でありながら、それに屈することなく、時にはしたたかに、時にはしなやかに絵筆を頼りに時代を生き抜いた彼女が写しだしたのは、本当に繊細で美しい世界なんですよね。
19世紀以降、世界は「ますらおぶり」に傾いていってしまったけれど、18世紀ロココの時代は「たおやめぶり」という日本語がまさにぴったりくるような気がしました。くしくも、展覧会のキャッチコピーは「18世紀のカワイイを描いた女性画家たち」ですからねえ・・・・。

18世紀の彼女達は、現代女性と一緒で、「カワイイ」を描きながら、その人生はほやほやと甘いものじゃなかったんですよね。そういうところが、やっぱりひかれていってしまう理由なんでしょうか?






No.33
2011/03/01 (Tue) 23:48:04

講演日 2011年3月1日(火) 18:30~20:00
講 師 グザヴィエ・サルモン氏 フォンテンブロー宮殿美術館館長
     フランス語 同時通訳付き
会 場 SPACE NIO 日本経済新聞社 東京本社2F
費 用 1000円 要事前予約 

日本だと美術館の館長さんと言えば、結構なお年を召した方という印象があるのですが、サルモン氏はまだ50前後くらいかと思われる若々しいかたでした。お話を聞くのが目的ですけどね、見目麗しい方だとまた一段と興味深くお話が聞けるというものです。

講演の内容は、ヴィジェ・ルブランの話と言うよりも、マリー・アントワネットの肖像画の変遷がメインテーマだったように思われます。

最初のエピソードがなかなか興味深い。ルイ・オーギュストとマリー・アントワネットの婚約が調い、ルイ15世がオーストリアに画家と結髪師が派遣される。マリー・アントワネットの肖像画を描くためである。画家はわかるが、なぜ結髪師?フランス風の髪を結わせるためという話なのだが、疑問が残る。後に、とんでもない髪型を流行させる彼女だが、髪型がファッションの重要なポイントであることを、こんなところから体感したのだろうか?と妄想してしまった。

この時描かれた肖像画はルイ15世に届けられたが、今一つのできと判断されたらしい。もう一枚描かれたものが届けられ、これを原画にクロワゼが銅版画におこして、フランス国内に配られたそうだ。マリー・アントワネットの肖像画は、フランスとオーストリアの外交革命を世に知らしめる為に格好の材料だったのだろう。

マリー・アントワネットは、母マリア・テレジアに届けさせるために、肖像画を依頼するが、なかなか良い作品が作られなかったそうだ。似ていない、絵のレベルが低いと言うことで、なかなか満足がいかなかったのだという。
スクリーンに映し出された肖像画は、馴染みのあるものだが、確かに今一つかもしれない。彫刻の方がまだましという状態だった。

始めにヴィジェ・ルブランは、公式肖像画(こんなものがあったんですかねえ・・・・)のコピーをする画家として宮廷に出入りするようになったそうだ。マリー・アントワネットと同じ年の若さと、その美しさから、目にとまり、王妃から正式な肖像画の依頼を受ける。そこから、王妃のお気に入りの画家として、いくつもの肖像画を手掛けていくことになる。

ヴィジェ・ルブランが描くマリー・アントワネットは実物より美化されているというのは良く言われる事だ。しかし、この時代の肖像画、特に、王家が正式に制作させる作品は、対外的な意図をもって描かれるものである。実物に似ているという事以上に、この「意図」により忠実であることが求められたのだ。

しかし、「意図」が正しく伝わるとは限らない。ヴィジェ・ルブランは事の他肌や衣装の描き方がうまい。つやつやとした絹の質感やレースの繊細さ、宝石のきらめきは、反感を産んでしまったのかもしれない。

現在、私たちがヴィジェ・ルブランが描いたマリー・アントワネットの姿を見るとき、彼女が持っていた善良さ優しさを感じる事ができますが、日々の暮らしに不満が高まるばかりの人々には、伝わらなかったのでしょう。

牢獄で描かれた最期の肖像画の憂いと威厳をもった表情と、荷車に乗せられた姿をダヴィッドがスケッチしたものと、どちらもが彼女の姿だったのでしょう。けれど、描きだそうとしたものが、まるで違うように思います。

講演の最期に展覧会のチケットの抽選がありました。ペアチケットが10人にプレゼントされました。



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