講演会参加記録帖
No.34
2011/03/08 (Tue) 23:24:58
講演日 2011年3月8日(火) 18:30~20:00
講 師 大野芳材(青山学院女子短期大学教授)
会 場 SPACE NIO 日本経済新聞社 東京本社2F
講 師 大野芳材(青山学院女子短期大学教授)
会 場 SPACE NIO 日本経済新聞社 東京本社2F
費 用 1000円 要事前予約
大野氏の講演は3度目。相変わらずにこやかで軽やかなお話ぶりが楽しかったです。「ロココが好き!」と以前聞いた講演の時もおっしゃっていましたから、きっとお話なさりたい事がたくさんあったのでしょうねえ。1時間半の持ち時間はあっと言う間に終わってしまい、講演としてはちょっと散漫な感じになってしまっていました。でも、楽しかったです。マリー・アントワネットが描いた、父皇帝フランツ1世の絵が紹介されて、なんだかとてもほほえましかったです。
話の入り口のはずだった王立絵画彫刻アカデミーと女性画家の関係のところでかなり時間が押してしまって、後の方がかけ足になってしまいました。ある程度西洋美術史を勉強すると、中世から近世の徒弟制度についての知識があるので、それを踏まえた上での話が進められるのでしょうけれど、そういった知識がない方に画家の社会的位置づけなどを話そうとすると、まずそこから話を始めなければいけないというのが、難しい課題になるのでしょう。
ヴィジェ・ルブランは18世紀末には非常に評価の高い画家であったのに、フランス本国ではまだ本格的な回顧展が開かれた事がないそうです。その理由としては、現在最先端の研究をされている方が、アメリカ人であることや、本人が同じ構図の作品をいくつも制作しており、その扱いをどうするべきなのか、評価が定まっていいないというところにあるのだそうです。
18世紀はフランス革命に代表されるように、大きな社会の変革期にあたったわけで、それは単に社会体制の変化だけでなく、文化芸術から人々の生活感覚に至るまでの本当に大きな変化が起こったのだと思います。
18世紀には本当にエネルギッシュで魅力的な人物がたくさん存在しています。ヴィジェ・ルブランもその一人だと思いますが、いかんせん、現代の感覚ではとらえきれないものを持っている人間のように思うのです。
彼女の魅力はむしろ、現代日本女性の方が素直に評価できるような気がします。女性という社会的には弱い立場でありながら、それに屈することなく、時にはしたたかに、時にはしなやかに絵筆を頼りに時代を生き抜いた彼女が写しだしたのは、本当に繊細で美しい世界なんですよね。
19世紀以降、世界は「ますらおぶり」に傾いていってしまったけれど、18世紀ロココの時代は「たおやめぶり」という日本語がまさにぴったりくるような気がしました。くしくも、展覧会のキャッチコピーは「18世紀のカワイイを描いた女性画家たち」ですからねえ・・・・。
18世紀の彼女達は、現代女性と一緒で、「カワイイ」を描きながら、その人生はほやほやと甘いものじゃなかったんですよね。そういうところが、やっぱりひかれていってしまう理由なんでしょうか?
大野氏の講演は3度目。相変わらずにこやかで軽やかなお話ぶりが楽しかったです。「ロココが好き!」と以前聞いた講演の時もおっしゃっていましたから、きっとお話なさりたい事がたくさんあったのでしょうねえ。1時間半の持ち時間はあっと言う間に終わってしまい、講演としてはちょっと散漫な感じになってしまっていました。でも、楽しかったです。マリー・アントワネットが描いた、父皇帝フランツ1世の絵が紹介されて、なんだかとてもほほえましかったです。
話の入り口のはずだった王立絵画彫刻アカデミーと女性画家の関係のところでかなり時間が押してしまって、後の方がかけ足になってしまいました。ある程度西洋美術史を勉強すると、中世から近世の徒弟制度についての知識があるので、それを踏まえた上での話が進められるのでしょうけれど、そういった知識がない方に画家の社会的位置づけなどを話そうとすると、まずそこから話を始めなければいけないというのが、難しい課題になるのでしょう。
ヴィジェ・ルブランは18世紀末には非常に評価の高い画家であったのに、フランス本国ではまだ本格的な回顧展が開かれた事がないそうです。その理由としては、現在最先端の研究をされている方が、アメリカ人であることや、本人が同じ構図の作品をいくつも制作しており、その扱いをどうするべきなのか、評価が定まっていいないというところにあるのだそうです。
18世紀はフランス革命に代表されるように、大きな社会の変革期にあたったわけで、それは単に社会体制の変化だけでなく、文化芸術から人々の生活感覚に至るまでの本当に大きな変化が起こったのだと思います。
18世紀には本当にエネルギッシュで魅力的な人物がたくさん存在しています。ヴィジェ・ルブランもその一人だと思いますが、いかんせん、現代の感覚ではとらえきれないものを持っている人間のように思うのです。
彼女の魅力はむしろ、現代日本女性の方が素直に評価できるような気がします。女性という社会的には弱い立場でありながら、それに屈することなく、時にはしたたかに、時にはしなやかに絵筆を頼りに時代を生き抜いた彼女が写しだしたのは、本当に繊細で美しい世界なんですよね。
19世紀以降、世界は「ますらおぶり」に傾いていってしまったけれど、18世紀ロココの時代は「たおやめぶり」という日本語がまさにぴったりくるような気がしました。くしくも、展覧会のキャッチコピーは「18世紀のカワイイを描いた女性画家たち」ですからねえ・・・・。
18世紀の彼女達は、現代女性と一緒で、「カワイイ」を描きながら、その人生はほやほやと甘いものじゃなかったんですよね。そういうところが、やっぱりひかれていってしまう理由なんでしょうか?
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