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講演会参加記録帖
No.
2024/09/29 (Sun) 02:28:34

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No.21
2009/11/14 (Sat) 22:28:50

講演日 2009年11月14日(土)14:00~15:30
講演者 千足伸行氏 展覧会図録監修・成城大学教授
会 場 国立新美術館 講堂 
費 用 無料(要半券)

3回あった記念講演の最終回は、今回の展覧会の図録監修者である千足伸行氏。この方の講演を聞くのは初めてでした。ドイツ世紀末あたりがご専門ということらしいです。私が好きな方面や時代とちょっと違うので、今までお話を聞くチャンスがなかったのですね。

いやあ~!!この方のお話は面白かったです。学者さんらしからぬユーモアの持ち主でいらっしゃる。とにかく早口でマシンガントークなんですよ。でも、滑舌がいいので、ちゃんと聞きとれます。一人ノリツコミで、まあつぎから次へと、スライドを変えながらしゃべるしゃべる!大好きな美術品について話すことが楽しくて仕方ないといったご様子。

講演は、「カルチャースクールや普通の講演会のように絵について解説するのは面白くないので、ハプスブルグ家のコレクションの形成を中心に、絵画がどのように各国を移動し、コレクションに収まっていったかなどのエピソードをお話しましょう。」という前ふりから始まりました。

文学や音楽と違い、絵画作品は一点一点が「唯一の存在」であるという特徴があります。文学は印刷によって複製可能。音楽の楽譜も然り。音楽の場合は演奏者という媒体が必要ですけれど、音楽自体、「音」という形のないものなわけで、オリジナルとは何かという議論はなかなか難しい。ところが、絵画作品の場合は、いくら印刷か進歩しても、印刷されたものはあくまで複製であって、オリジナルでありません。この特徴のために、絵画作品はコレクションの対象になるのでしょうねえ。

絵画とその流通やコレクションに関するエピソードがどんどん出てくる出てくる!上野国立西洋美術館の元になった松方コレクションの話、第二次世界中、疎開中だったクリムトの傑作の焼失の話。ハプスブルグコレクションの基礎を作ったルドルフ2世がどのようにコレクションを増やしていったか。スペインとオーストリアのハプスブルグ家のコレクションのエピソードなど、盛りだくさんのお話はみな興味深く、あっという間の1時間40分でした。

予定時間をオーバーしていたので、質問タイムはありませんでした。別室で質問を受けますということでしたが
今回は質問事項が思いつかなかったですねえ。それにしてもサービス精神の旺盛な方なのですね。今度また講演があったら聞きに行きたいと思いました。

帰りにハプスブルグ展の売店によったら、旅行読売12月号を売っていました。特別付録で千足先生の出品作解説がついているというので、思わず買ってしまいました。家に帰ってさっそく見ましたけれど、生千足先生の方が面白かったですねえ。

 

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No.20
2009/09/26 (Sat) 21:40:00

講演日 2009年9月26日(土)14:00~15:30
講演者 カール・シュッツ ウィーン美術史美術館絵画館長
会 場 国立新美術館 講堂 
費 用 無料(要半券)

新美術館での講演会参加は今回が初めて。エスカレーターで3階へ。椅子は普通のイスでライティングテーブルなし。書き物をしたりするには、ちょっと不便です。

カール・シュッツ氏の略歴の紹介のあと、講演が始まりました。

今まで、フランス語、英語、イタリア語での講演を同時通訳付きで聞いてきましたが、ドイツ語での講演は初めてです。同時通訳というよりも、あらかじめきっちり原稿を作り、事前に打ち合わせをちゃんとやりました!って感じです。話の区切りが長かったので、ドイツ語がさっぱりわからない私としては、もっと短く話を区切ってほしかったかな?という感じでした。でも、そういうきっちり感がいかにもゲルマンな感じがいたしました。

話の内容としては、ウイーン美術史美術館の所蔵作品の中核をなす、ハプスブルグ家ゆかりのコレクションがどのように形成されたのか?というものでした。コレクションの特徴としてあげられるのが、皇帝やハプスブルグ家ゆかりの人物の個人的趣味によって収集されたものが基礎になっているため、美術史の流れをカバーするようなものになっていないということでした。

ハプスブルグ家のコレクターがどんな風に作品を集めていったかというエピソードや、ベラスケスが描いた肖像画で有名なマルガリータ王女のエピソードなど、興味深い話を丁寧にしてくださって、とても面白かったです。
でも、ユーモアとかはなくて、ひたすらまじめ~に原稿を読んでいらっしゃる。質疑応答にも、非常にきっちりとお答えになっていて、やっぱりお国柄なんだなあ・・・・と感じ入ってしまいました。

面白かったエピソードとしては、ルドルフ2世がコレッジョのギリシア神話を題材にした、4連作をコンプリートしたくて、がんばっていた話や、大公ヴィルヘルム・レオポルドのギャラリー画(自分の収集品を展示した部屋の絵を描かせた)の話でした。

ハプスブルグ展の記念講演はあと2回あるそうなので、、興味のある方は公式サイトをチェックしてみてはいかがでしょうか?





No.19
2009/09/20 (Sun) 21:57:09

講演日 2009年9月20日(日)14:00~16:00
講演者 三浦篤氏(東京大学教授)
会 場 世田谷美術館 講堂 
費 用 無料


開催中の「オルセー美術館展ーパリのアール・ヌーヴォー」記念講演会の2回目。三浦篤氏の講演を聞くのは今回で4度目。毎回きっちりとレジュメを用意してくださり、そのレジュメにそって、簡潔にわかりやすくお話ししてくださるので、非常に理解しやすい。
専門は19世紀絵画ということだが、今回の工芸作品中心の展覧会ということで、絵画表現の中の室内空間の変遷についての内容ということだった。

多数のスライドを見ながら、19世紀絵画の中での室内空間表現の変化を追いかけていったのだが、どんどん立体から平面へ変化していくのがわかる。装飾化と平面化が19世紀中頃から急速に進み、やがて、絵画はピカソやマチスのように抽象化が進んでいく。その過程の始まりとして、アール・ヌーヴォーが大きくかかわっているという。そこにはまた、ジャポニズムが大きく影響しているものと考えられる。

19世紀中ごろまでは、欧米の絵画では、描かれているものによって絵画のランク付がされていた。社会の中に階級が存在していたのとリンクしていたのだろう。階級制度のたががゆるんできて、芸術が一般大衆化したとき、それまでとは違った表現が生まれてくる。それはおそらく、絵画だけにとどまらず、あらゆる芸術活動にも見ることができるように思う。

このところしつこく18世紀から19世紀あたりのいろいろを調べて基礎的な知識が蓄積できたせいか、こういった講演を聞いても、ピンとくるようになってきた。やはり、基礎的な知識がないと、理解しにくい事柄というのはあるものだ。今後も地道に勉強して行きたいものである。

 

No.18
2009/09/13 (Sun) 00:17:02

講演日 2009年9月12日(土)14:00~16:00
講演者 オルセー美術館学芸員 イヴ・バデッツ氏
会 場 世田谷美術館 講堂 
費 用 無料

世田谷美術館で開催される、オルセー美術館展の初日の今日、記念講演があるというのでいそいそと出かけていった。美術展の講演会はほとんどが無料。講師は、一流の方ばかり。都合がつくなら行かなければ損である。今回は、オルセー美術館学芸員 イヴ・バデッツ氏のお話を、同時通訳付きで聞いた。

登壇したバテッツ氏は50代はじめくらいだろうか?いかにもおフランスな雰囲気の素敵な方でした。
氏はモビリオナショナル・ド・フランスに25年務めたあと、家具工芸部門の拡充の為にオルセー美術館に引き抜かれたという経歴の持ち主。

「モビリエ・ナショナル・ド・フランス」って何?まず講演者の紹介で出てきた言葉から興味がそそられます。


モビリエ・ナショナル・ド・フランスとは、訳せばフランス国有動産管理局っていうらしいのです。説明が難しいので、メゾン・デ・ミュゼ・ド・フランスのサイトで見つけた解説を貼ります。

モビリエ・ナショナルとは、フランス国家が保有する建物の家具調度類を保管・修復のための国家機関。その歴史は3世紀以上前に設立された王立の家具倉庫に遡ります。保有するコレクションはフランス王家ゆかりのものだけでなく、エリゼ宮(大統領官邸)、オテル・マティニヨン(首相官邸)のほか、省庁や在外フランス公館の室内装飾に使われた20万点の家具調度類も、その管理下にあります。
この機関がユニークなのは、現代フランスのインテリアデザインの創造的な一面も担っているところ。1964年以来、モビリエ・ナショナルのアトリエ(通称ARC)では、フランスを代表する工業デザイナーたちとともに、歴代大統領をはじめとするフランス国家の公的な注文による家具調度類の製作を請け負っているのです。

お話はまずオルセー美術館の設立の経緯と収蔵作品の年代についてから始まります。オルセー美術館は10世紀美術の美術館として位置付けられ、収蔵作品の年代は、1848年(フランス2月革命の年)~1914年(第一次世界大戦勃発)となっている。
フランスでは、国家がすぐれた芸術作品を買い上げるという伝統がある。買い上げられたものは、美術館に収蔵されたり、大統領官邸や、各国家機関に貸し出しされたりしている。オルセー美術館に収蔵された作品も、もともとはルーブル美術館やルクサンブール美術館から移されたものが元になっているそうだ。
フランスでは芸術に階級があって、絵画や彫刻に比べ工芸については評価が高くなかったのです。その為、工芸部門はあまり充実していなかったというわけ。しかしながら、アール・ヌーヴォーの工芸や家具は日本やアメリカでとても評価が高くて、本家本元にないっていうのがやっぱりまずいってことになったんでしょうね。
それで、いまになって苦労しているという、裏話がいろいろ聞けました。講演のあとの質問コーナーでは「国家が芸術振興にすごく予算を使っていることについて、フランス国民はどのような意見を持っているのか、美術館は、どんなPR活動をしているのか」という質問に対して、ものすごく熱心に答えてくださって、まあ~フランス人ってよくしゃべる~と思いました。講演のときは原稿見ていらっしゃいましたけど、質問には用意された答えはないですからね。やっぱり、いろいろ予算は大変だってことがわかりました。

No.17
2009/07/24 (Fri) 22:42:39

公演日 2009年7月23日(木)19:00~21:00
演奏者 バロック・バイオリン 阿部千春 バロック・リュート 蓮見岳人
会 場 サロン・ド・パッサージュ 江戸川橋駅徒歩3分
費 用 3500円

総じてバロックという時代が面白いと思う。美術も建築も音楽もルネッサンスの調和のとれた明快な表現からちょっとはみ出してというか、もっと人間臭い扇情的で過剰な感じがして、なんとも言えず面白い。

バロック・リュートの奏者蓮見氏と私は血縁がある。一族の集まりで子供のころになんどか遊んだことがある。彼のお姉さんとは同じ年だ。子供のころから、ちょっとひょうきんで風変りな味のある子だった。本当に久しぶりの再会で、お互い年取ったねえ~と感慨深かったですねえ。

縁というのは摩訶不思議なもので、旦那の大学時代の友達と、彼がケルンの下宿で隣どうしだった。何かの拍子で旦那のことが話題に上り、お互いその関係にびっくりしたらしい。海の向こうで話題になっちゃう私の旦那っていったいどういうことなんだろうとその話を聞いた時には思いました。

バロック・バイオリンの演奏を生で聞くのは初めて。モダン・バイオリンと違い肩当ても顎当てもない。弓も凹型に反ったものではなく、むしろ少し中央が膨らんだ形をしている。弦はガット製だ。肩あてや顎当てがないから、肩と顎にはさむというのではなく、肩のくぼみに自然に当てられることになる。演奏姿勢は極めてエレガントに見える。音色もとても有機的で繊細に感じた。特に消え入るように引き伸ばされたピアニッシモの音色は、モダン・バイオリンにはない魅力があります。

リュートは中央アジアで生まれた楽器が西に伝わり発達した楽器だが、同じご先祖から伝わって、日本に行きついて琵琶になった。日本の琵琶は撥で演奏するがリュートはギターと同じで指でつまびく。ギターより甘い音色に感じる。丸い胴のせいだろうか?

天気もあまりよくなかったし、湿気がものすごかったから、最初の2曲ほどは楽器の鳴りも今一つだったような気がする。冷房で湿度が下がるにつれ音の鳴りが良くなっていったのが面白かったですね。楽器がまさに生き物って感じ。

演奏の合間に作曲家や演奏法についてのトークもあり、いろいろ勉強になりました。今まで知らなかった作曲家の作品もとても新鮮でした。また一段とバロックにはまってしまいそうです。
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