講演日 2009年9月20日(日)14:00~16:00
講演者 三浦篤氏(東京大学教授)
会 場 世田谷美術館 講堂
費 用 無料
開催中の「オルセー美術館展ーパリのアール・ヌーヴォー」記念講演会の2回目。三浦篤氏の講演を聞くのは今回で4度目。毎回きっちりとレジュメを用意してくださり、そのレジュメにそって、簡潔にわかりやすくお話ししてくださるので、非常に理解しやすい。
専門は19世紀絵画ということだが、今回の工芸作品中心の展覧会ということで、絵画表現の中の室内空間の変遷についての内容ということだった。
多数のスライドを見ながら、19世紀絵画の中での室内空間表現の変化を追いかけていったのだが、どんどん立体から平面へ変化していくのがわかる。装飾化と平面化が19世紀中頃から急速に進み、やがて、絵画はピカソやマチスのように抽象化が進んでいく。その過程の始まりとして、アール・ヌーヴォーが大きくかかわっているという。そこにはまた、ジャポニズムが大きく影響しているものと考えられる。
19世紀中ごろまでは、欧米の絵画では、描かれているものによって絵画のランク付がされていた。社会の中に階級が存在していたのとリンクしていたのだろう。階級制度のたががゆるんできて、芸術が一般大衆化したとき、それまでとは違った表現が生まれてくる。それはおそらく、絵画だけにとどまらず、あらゆる芸術活動にも見ることができるように思う。
このところしつこく18世紀から19世紀あたりのいろいろを調べて基礎的な知識が蓄積できたせいか、こういった講演を聞いても、ピンとくるようになってきた。やはり、基礎的な知識がないと、理解しにくい事柄というのはあるものだ。今後も地道に勉強して行きたいものである。