講演日 2009年11月14日(土)14:00~15:30
講演者 千足伸行氏 展覧会図録監修・成城大学教授
会 場 国立新美術館 講堂
費 用 無料(要半券)
3回あった記念講演の最終回は、今回の展覧会の図録監修者である千足伸行氏。この方の講演を聞くのは初めてでした。ドイツ世紀末あたりがご専門ということらしいです。私が好きな方面や時代とちょっと違うので、今までお話を聞くチャンスがなかったのですね。
いやあ~!!この方のお話は面白かったです。学者さんらしからぬユーモアの持ち主でいらっしゃる。とにかく早口でマシンガントークなんですよ。でも、滑舌がいいので、ちゃんと聞きとれます。一人ノリツコミで、まあつぎから次へと、スライドを変えながらしゃべるしゃべる!大好きな美術品について話すことが楽しくて仕方ないといったご様子。
講演は、「カルチャースクールや普通の講演会のように絵について解説するのは面白くないので、ハプスブルグ家のコレクションの形成を中心に、絵画がどのように各国を移動し、コレクションに収まっていったかなどのエピソードをお話しましょう。」という前ふりから始まりました。
文学や音楽と違い、絵画作品は一点一点が「唯一の存在」であるという特徴があります。文学は印刷によって複製可能。音楽の楽譜も然り。音楽の場合は演奏者という媒体が必要ですけれど、音楽自体、「音」という形のないものなわけで、オリジナルとは何かという議論はなかなか難しい。ところが、絵画作品の場合は、いくら印刷か進歩しても、印刷されたものはあくまで複製であって、オリジナルでありません。この特徴のために、絵画作品はコレクションの対象になるのでしょうねえ。
絵画とその流通やコレクションに関するエピソードがどんどん出てくる出てくる!上野国立西洋美術館の元になった松方コレクションの話、第二次世界中、疎開中だったクリムトの傑作の焼失の話。ハプスブルグコレクションの基礎を作ったルドルフ2世がどのようにコレクションを増やしていったか。スペインとオーストリアのハプスブルグ家のコレクションのエピソードなど、盛りだくさんのお話はみな興味深く、あっという間の1時間40分でした。
予定時間をオーバーしていたので、質問タイムはありませんでした。別室で質問を受けますということでしたが
今回は質問事項が思いつかなかったですねえ。それにしてもサービス精神の旺盛な方なのですね。今度また講演があったら聞きに行きたいと思いました。
帰りにハプスブルグ展の売店によったら、旅行読売12月号を売っていました。特別付録で千足先生の出品作解説がついているというので、思わず買ってしまいました。家に帰ってさっそく見ましたけれど、生千足先生の方が面白かったですねえ。