講演会参加記録帖
No.7
2008/01/27 (Sun) 15:21:05
講演日 2008年1月26日(土)14:00~16:00
講演者 フレデリック・ダサス (ルーブル美術館 二術工芸品部門学芸員)
会 場 東京都美術館 講堂
東京都美術館の企画展の記念講演会に参加したのは初めて。美術館入口を入ってすぐ右側奥の階段を降りたところに講堂があり、この入り口前で入場整理券が13:00から配られる。13:30に開場し、整理券番号順に入場、自由着席となる。12:30に講堂入口に並ぶ。整理券10番台を確保することができた。講堂は定員240名。ほぼ満席状態。
朝日新聞社の若い女性が司会に立ち、講演が始まった。講演のテーマは18世紀フランスの宮廷美術についてだが、今回の展示品を解説する内容ではなく、今回の展示を構成する2つの見所についての解説だった。
まず、ひとつのテーマとして、18世紀美術におけるロカイユ(ロココ)様式から新古典様式への変遷、もうひとつ宮廷で女性が芸術の庇護・発展に果たしてきた役割について(ポンパドール夫人・デュ・バリー夫人・マリー・アントワネットを中心に)である。
新古典様式については、ジャック・ルイ・ダヴィッドに興味を持ち、本などを読んで来たが、今回の講演を聞いて思った以上に、新古典様式が早い年代から新しい様式として取り入れ始められていることを知ることができた。ロココから新古典への移り変わりについて、今ひとつ自分の中で消化・理解できなかった部分があったのだけれど、今回の講演を聞き、少しではあるが腑に落ちた。絵画作品よりもむしろ、家具や調度から新古典様式の影響が早く見られることが興味深かった。
18世紀の貴族社会や宮廷において、女性は特に社交や芸術・文化に対する牽引役を勤めてきた。特にルイ15世の治世においては、ポンパドール夫人という比類なき女性が精力的にその分野をリードした。しかし、彼女が所有していた家具や調度はルーブルにほとんど残されていないというのが意外だった。ルイ15世の最後の寵姫、デュ・バリー夫人は某少女漫画で、非常に高慢で品のない女性のように描かれているが、実際には、人好きのする楚々たる美女だったらしい。芸術の女神に扮した彼女の肖像画がスライドで紹介されたが、確かに細面の楚々たる美女だった。確かに、ポンパドール夫人のような幅広い教養や知性は感じられないが、やわらかい女性的な感性を持った人だったんだろうと思われた。彼女の豪奢な趣味が反映された家具はなかなか美しく目をひきつけた。
マリー・アントワネットについては、ダサス氏の見解はなかなか辛辣だった。アントワネットは他の二人のように芸術や文化のオピニオンリーダーであったり、庇護者であろうとしなかったという。しかし、音楽には興味があり、彼女はパーティーオーガナイザーとしての才能があった。布に対する愛着も特出していた。彼女が作らせた椅子がそのままに残っているものをスライドで見せてくれたが、新古典様式の簡潔さとロココの甘さ繊細さが調和した美しいものだと感じた。
意外に思ったのは、ルイ15世が、建築や文化事業を司る人物の人選を寵姫達に任せていたのに、ルイ16世は自らが掌握していたというのだ。一つにはアントワネットがそういったことにあまり強い意志を発揮する気がなかったのかも知れないし、ルイ16世の方が、そういった分野に興味が強かったからかも知れない。
同時通訳による講演だったが、とても聴きやすく興味深いものだった。ただ、フランス語の響きはなぜこんなに眠気を催すのか・・・・。やわらかい鼻に抜ける発音は、どこか精神を弛緩させる作用があるとでもいうのか!!と思ってしまいました。
ルーブル展に関する記念講演会はあと2回あります。無料で時間に並べばいいのですから、興味とお暇がある方はお出かけになってはいかがでしょうか?
講演者 フレデリック・ダサス (ルーブル美術館 二術工芸品部門学芸員)
会 場 東京都美術館 講堂
東京都美術館の企画展の記念講演会に参加したのは初めて。美術館入口を入ってすぐ右側奥の階段を降りたところに講堂があり、この入り口前で入場整理券が13:00から配られる。13:30に開場し、整理券番号順に入場、自由着席となる。12:30に講堂入口に並ぶ。整理券10番台を確保することができた。講堂は定員240名。ほぼ満席状態。
朝日新聞社の若い女性が司会に立ち、講演が始まった。講演のテーマは18世紀フランスの宮廷美術についてだが、今回の展示品を解説する内容ではなく、今回の展示を構成する2つの見所についての解説だった。
まず、ひとつのテーマとして、18世紀美術におけるロカイユ(ロココ)様式から新古典様式への変遷、もうひとつ宮廷で女性が芸術の庇護・発展に果たしてきた役割について(ポンパドール夫人・デュ・バリー夫人・マリー・アントワネットを中心に)である。
新古典様式については、ジャック・ルイ・ダヴィッドに興味を持ち、本などを読んで来たが、今回の講演を聞いて思った以上に、新古典様式が早い年代から新しい様式として取り入れ始められていることを知ることができた。ロココから新古典への移り変わりについて、今ひとつ自分の中で消化・理解できなかった部分があったのだけれど、今回の講演を聞き、少しではあるが腑に落ちた。絵画作品よりもむしろ、家具や調度から新古典様式の影響が早く見られることが興味深かった。
18世紀の貴族社会や宮廷において、女性は特に社交や芸術・文化に対する牽引役を勤めてきた。特にルイ15世の治世においては、ポンパドール夫人という比類なき女性が精力的にその分野をリードした。しかし、彼女が所有していた家具や調度はルーブルにほとんど残されていないというのが意外だった。ルイ15世の最後の寵姫、デュ・バリー夫人は某少女漫画で、非常に高慢で品のない女性のように描かれているが、実際には、人好きのする楚々たる美女だったらしい。芸術の女神に扮した彼女の肖像画がスライドで紹介されたが、確かに細面の楚々たる美女だった。確かに、ポンパドール夫人のような幅広い教養や知性は感じられないが、やわらかい女性的な感性を持った人だったんだろうと思われた。彼女の豪奢な趣味が反映された家具はなかなか美しく目をひきつけた。
マリー・アントワネットについては、ダサス氏の見解はなかなか辛辣だった。アントワネットは他の二人のように芸術や文化のオピニオンリーダーであったり、庇護者であろうとしなかったという。しかし、音楽には興味があり、彼女はパーティーオーガナイザーとしての才能があった。布に対する愛着も特出していた。彼女が作らせた椅子がそのままに残っているものをスライドで見せてくれたが、新古典様式の簡潔さとロココの甘さ繊細さが調和した美しいものだと感じた。
意外に思ったのは、ルイ15世が、建築や文化事業を司る人物の人選を寵姫達に任せていたのに、ルイ16世は自らが掌握していたというのだ。一つにはアントワネットがそういったことにあまり強い意志を発揮する気がなかったのかも知れないし、ルイ16世の方が、そういった分野に興味が強かったからかも知れない。
同時通訳による講演だったが、とても聴きやすく興味深いものだった。ただ、フランス語の響きはなぜこんなに眠気を催すのか・・・・。やわらかい鼻に抜ける発音は、どこか精神を弛緩させる作用があるとでもいうのか!!と思ってしまいました。
ルーブル展に関する記念講演会はあと2回あります。無料で時間に並べばいいのですから、興味とお暇がある方はお出かけになってはいかがでしょうか?
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